リスクの正体——変動と付き合う
「投資は怖い」の正体は、リスクという言葉の誤解にあります。金融のリスクは「損」ではなく「揺れ幅」。この章では、揺れの大きさの相場観と、素人が揺れを乗りこなすための三点セットを学びます。
リスク=損ではなく「振れ幅」
年5%期待の全世界株式は、毎年きっちり5%増えるのではなく、+20%の年も−15%の年もありながら、長期平均が5%に収束していく資産です。この揺れ幅(標準偏差でおよそ年±15〜20%)がリスクの正体。振れ幅を受け入れる対価としてリターンが支払われる——これが市場の基本的な取引です。
暴落の相場観を先に持つ
全世界株式でも、10年に一度は3〜5割の下落が起きます(リーマンショック約−50%、コロナショック約−30%)。重要なのは「起きるか」ではなく「起きたとき自分がどうするか」を先に決めておくこと。100万円が60万円になった画面を見て積立を止めない自信があるか——それがリスク許容度の実践的な測り方です。
三点セット:長期・分散・積立
素人が機関投資家と互角に戦える唯一の型が①長期(時間が振れ幅を均す)②分散(全世界に広く。1社・1国・1資産に賭けない)③積立(定額購入により高い時に少なく、安い時に多く買う=ドルコスト平均法)。三つ同時に使うことで、個別の判断力なしに市場平均のリターンを取りに行けます。
リスク許容度は「年齢・収入・性格」で決まる
若く収入が安定しているほど、回復を待つ時間があるためリスクを取れます。目安として「株式:債券・現金=100−年齢:年齢」という古典的な公式もありますが、最終的には夜眠れるかどうか。第2章の生活防衛資金が厚いほど、許容度は実質的に上がります。
2008年リーマンショック直前の高値で全世界株式に一括投資してしまった最悪のケースでも、積立を続けていれば約4〜5年で元本を回復し、その後の10年で資産は大きく成長しました。暴落は「積立継続者」にとって安く買えるバーゲン期間だった——これが歴史の教訓です。