CHAPTER 02 / 10 — マネーの教科書
生活防衛資金をつくる
投資で最初に買うべきものは、株でも投資信託でもなく「売らずに済む状態」です。生活防衛資金はそのための装備——金額の目安、置き場所、貯まるまでの現実解を学びます。
いくら必要か——職業で変わる
目安は生活費の6ヶ月〜1年分。雇用が安定した会社員なら6ヶ月、フリーランス・自営業・片働き世帯なら1年分。第1章で出した「月の支出」に掛けるだけです(例:月23万円×6ヶ月=138万円)。傷病手当金や失業給付がある会社員と、ない自営業で必要量が変わるのは合理的な差です。
なぜ投資より先なのか
理由は2つ。第一に、防衛資金がないと急な出費のたびに投資資産を売ることになり、それが相場の底と重なると、損失を確定させながら複利を断ち切ります。第二に、心理の安定が投資行動を守るから。暴落時に狼狽売りする人としない人を分けるのは、知識ではなく「当面の生活は現金で守られている」という感覚です。
置き場所——増やす場所ではない
防衛資金は普通預金、または個人向け国債(変動10年)など、元本割れせず数日で引き出せる場所へ。ここで利回りを追ってはいけません。コツは「増やすお金」と「守るお金」の口座を物理的に分けること。生活口座・防衛資金口座・証券口座の3口座体制が、混ざらない最小構成です。
CASE — 数字で見る
月の生活費23万円の共働き世帯(会社員×2)。防衛資金の目標は138万円(6ヶ月分)。毎月の余力6.5万円のうち7割(4.5万円)を防衛資金に回すと約31ヶ月で完成。残り3割(2万円)は並行して積立投資に回し、複利の時間を確保します。
よくある誤解
防衛資金が貯まるまで投資は我慢すべき?
完成まで2〜3年かかるなら、複利の時間を失うのも損失です。現実解は「並走」:余力の7割を防衛資金、3割を少額積立へ。防衛資金が目標に達したら全額を投資へ切り替えます。
防衛資金も新NISAで運用したら?
おすすめしません。防衛資金の目的は「必要な瞬間に減っていないこと」。株式は10年に一度は3〜5割下がるもので、その瞬間と失業が重なるのが不況の典型です。役割の違うお金を混ぜないことが設計の要です。
CHECK — 理解度クイズ(全3問)
ACTION — この章のチェックリスト